私が大切にしているのは「思いやり」です
ここでいう思いやりとは、単に相手に優しくすることではありません。
自分とは異なる人が、何を見て、何を感じ、どこで困っているのかを想像し、その人の立場から物事を考えようとすることです。
人だけの問題にしない
人が何かをうまくできないとき、私たちはその原因を、その人の能力や努力、性格に求めてしまいがちです。
しかし、困難は必ずしもその人自身の中だけにあるわけではありません。
同じ人でも、置かれる環境や与えられる情報、周囲からの関わり方が変われば、できることは大きく変わります。
私は、人の困りごとを「その人の問題」として捉えるのではなく、人と環境との関係の中で生じるものとして捉えたいと考えています。
人だけに変化を求めるのではなく、その人に合った学び方、場所、道具、情報の示し方、関わり方を考える。
そうした工夫が、より多くの人が生きやすい社会につながると考えています。
人を理解するための研究
研究では、人間がどのように世界を知覚し、情報を選び、判断し、行動しているのかを明らかにしたいと考えています。
人間の認知の仕組みを理解することは、科学的に興味深いだけではありません。
人がどのような環境で迷い、困り、どのような支援があれば行動しやすくなるのかを理解することは、より人に合った環境を考えるための基礎になると考えています。
一人ひとりに合った教育を考える
私はこれまで、学校教育や特別支援教育にも携わってきました。
同じ説明でも、すぐに理解できる人もいれば、別の伝え方が必要な人もいます。言葉では分かりにくくても、図にすると分かることもあります。
そして、学校に通うことそのものがつらい人もいます。教室にいると苦しくなる人や、クラスの中に自分の居場所を感じられない人もいます。
そんなときに、私は「その人に何が足りないのか」だけを考えたくありません。
今いる場所とうまく合わないことが、その人の価値や可能性を決めるわけではないと思っています。
場所や学び方、関わる人が変わることで、その人らしく学び、前に進めることもあります。
「なぜできないのか」だけではなく、「どうすればできる環境をつくれるのか」を考える。
それが、私が教育で大切にしたいことです。
目指していること
人には、それぞれ異なる得意なこと、苦手なこと、ものの見方があります。
その違いを「できる人」と「できない人」に分けるためではなく、一人ひとりに合った環境を考えるために理解すること。
研究によって人を理解し、教育を通して一人ひとりと向き合う。
そして、その理解を人への思いやりにつなげていく。
それが、私がこれからも大切にしていきたいことです。